(詳細事例)積水化学工業株式会社

成功要因
  • Dynamics AXに深い知見を持つバイリンガルコンサルが日本語で支援
  • 米国に複数の拠点を持つDynamics AXパートナーを採用
  • 海外拠点の業務を統制したことで決算情報の容易な取得を実現
  • ユーザーテスト・シナリオを作り、ERP導入の問題点を十分にチェック
  • テンプレートを利用した海外ロールアウトによりガバナンスを強化

世界20以上の国・地域で海外子会社70社以上を抱えるまでにグローバル化を進めてきた積水化学工業 株式会社(以下、積水化学工業)は、海外拠点ごとに多様な ERP が運用され、全社標準化・統一化が課題となっていた。そこで実績と信頼性の高いMicrosoft Dynamics AXをグローバル標準のERPとして、メ キシコと北米の拠点へ順次ロールアウトすることを決断。この際に導入・運用支援パートナーとして、米国内に活動拠点を持つSYSCOM USA INC(. 以下、SYSCOMと表記)を採用。メキシコ拠点の稼働開始後からわずか3ヶ月後に北米拠点の稼働も開始するなど、2拠点のERP置き換えを連続して成功させた。

導入の背景とねらい

現地法人の会計処理を統一し 会計のガバナンス強化を図る

積水化学工業は、日本の製造業の中でも早期に グローバル化を進めてきた国際的企業のひとつだ。1962年に米国とドイツに拠点を設立し、1963年には日本の製造業では初の米国進出となる工場を 設立するなど、グローバル製造業の先駈けとなった。そして1990 年代以降はグローバル展開を本格化 させ、北米、中南 米、欧州、アジア、オセアニア、及び中国に拠点エリアを広げるなど、その勢いは現 在も拡大している。同社のグローバル展開において直面したのが、現 地法人が活用する基幹システムの問題だった。積水化学工業 で は 、基 本 的 にERPや電 子メール 、グ ループウェアなど情報システムを全て自社開発することが慣例となっており、B2C のビジネスモデルを持つ 住宅販売関連部門以外は国内グループ会社の全て が共通の基盤上で業務を行っている。しかし、M&A で現地法人化した拠点は既にERPが稼働している ため、国内の基幹システムを準用することは見送られてきた。それが結果的に海外拠点でのERP乱立につながり、全社標準化を妨げる原因となっていた。 「こうした問題を解決するため、海外拠点のERPを標準化・統一し、グロー バル経営管理強化に向けた情報収集と情報の見える化を実施しようと考えました」と語るのは、積水化学工業 経営管理部情報システムグループ 理事の小笹淳二氏だ。M&Aを 行っていく中で、現地法人の会計処理を統一して会 計のガバナンス強化を図った。

導入の経緯

テンプレートを事前に用意し 短期間かつ低コストでシステムを導入

既に中国エリアの一部では ERP の標準化が行われており、一定の成功を収めていたことから、今回は建築用・自動車用中間膜事業を担う拠点のうち、メキシコと米国ケンタッキー州にある2拠点を対象にロールアウトを行った。
その標準ERPに選ばれたのは「Microsoft Dynamics AX 2012(」以下、Dynamics AX)だった。この選択について小笹氏は、「10年以上前から活用実績があり、Microsoft社が注力している ERP であるため、将来にわたって継続的なサポート が期待できると判断しました」と話す。
さらに、Dynamics AXの海外拠点導入とその後の運用を担うパートナーとして、SYSCOM を 採用した。その理由は主に2つあるという小笹 氏。「1つは、コンサルタントが基幹システムにつ いてしっかりと理解していること。もう1つは、導入後も現地で長期的にサポートをしてくれる組織であったこと。SYSCOMは25年以上に渡り 米国に拠点を構え、社員の7 割は日本人であり、その全員が当然 バイリンガルです。日本企業らしく人を大事にする社風があり 、社員の定着性が高い点が大きなポイントでした。導入時よりもその後の運用サポートの方が付き合う期間も長 く重要になってくるため、人材の定着率はパートナーを決めるにあたりとても大事な要素と位置 付けております」
メキシコと米国へのDynamics AXロールア ウトは次のポイントを注意して進めた。1)グロー バルテンプレートおよびリージョナルテンプレー トを事前に用意することで短期間かつ低コストでシステムの早 期 導 入 を 図 っ た 。2 )標準業務プ ロ セ スとシステムを前提とした手順書を提供し、業務標準化の定着を図った。3)IFRS で必要な機能 開発をベースとすることで包括的な IFRS 対応を 図 っ た 。4 )同 じ E R P を 利 用 さ せ る こ と で 海 外 拠 点に対する各種指導とサポート強化を図った。5) 拠点のシステ ム運用については 、SYSCOMが提供するクラウドサービス「clavis」(図参照)を用 い、アウトソースさせることで効率化を図った。
更に、小笹氏は、「海外拠点のロールアウトに おける大きな障害要因は時差です」と指摘する。日本と現 地では時差があるため、コミュニケーションを取るためにはどちらかが無理に合わせることになる。現地にサポート拠 点を置けない 場合はインドなどにヘルプデスクを作り、時差を 埋めるという方法もあるが、何か問題が発生し、 現地へ訪問する必要が生じた場合、インドからの対応では難しい。「その点、SYSCOM は同じ 米国内に東海岸と西海岸と両方に拠点があるため、導入作業中に何かあった時でもすぐに来ても らえる頼もしい存在でした」と小笹氏は述べる。
ロールアウトはまず、2015年10月からメキ シコ拠点へのDynamics AX導入が開始され、 2016 年1月に稼働が開始された。「メキシコ拠点の際には、稼働後の教育プログラムやルール作りをSYSCOMがしっかりと対応してくれたおかげで、大きなトラブルに発展せず稼働開始ができました」と小笹氏は振り返る。
またメキシコ拠点に続き、2016年1月から北米拠点のDynamics AX導入プロジェクトも開始された。北米拠点では、メキシコ拠点でのERP切り替えの経験を基に、フェーズ毎に判定会議を実施し、状況を整理しながら問題の 発 生 原因や対策方法などをフィードバックすることで スムーズな導入をめざした。
「短期間で切り替えが完了するよう、SYSCOM が開発した基本的な業務の流れを統一するため の『BPF』(業 務プロセスフロー)を 使って100 項目程度のユーザーテスト向けシナリオを作り、それをユーザーに確認させたことで、メキシコ拠 点の稼働からわずか3ヶ月後の2016年4月に 北 米 拠 点も予定 通り稼 働 開 始することができました。SYSCOMには1ヶ月半ほど現地でテスト ケースの監視や支援などをお手伝いいただき大 変感謝しています」と小笹氏は評価する。

導入効果

Dynamics AXで各拠点のデータが可視化され 会計上のガバナンスが格段に強化

メキシコ拠点と北米拠点のDynamics AX導入 の成功はSYSCOMが作ったBPFが重要な鍵に なったと小笹氏はいう。「BPFによって業務のやり 方が大体見えはじめ、当然その結果としてのデー タも見えてきたことで、拠点の業務が遠隔で可視 化できるようになりました。その結果、決算などで さまざまな情報を抜き出せるようになったのです」
また、メキシコでは毎月営業報告を行うことが税法上の義務になっており、Dynamics AX が 月次バッチでそれを発行することで対応をしたほか、月次決算も締め後3営業日以内にレポートを日本へ送らせることが可能になった。
従来は、日本と現地との間で連結決算上の違算が発 生した場合は、その都度、現地の拠点に問い合わせしなければならず、時差の影響もあり、非常に非効率的で時間がかかっていた。 Dynamics AXへの切り替え後は、各拠点のデータが可視化されるようになり、会計上 の 齟 齬や漏 れがチェックしや すくなったため、ガバナンスが格段に強化された。

今後の展望

米国とメキシコでの導入ノウハウを 中国やヨーロッパの拠点にも応用

小笹氏は、メキシコ拠点に続き北 米拠 点もスケジュール通りERP が稼働できたことは非常に優秀だったとSYSCOMを高く評価する。
「Dynamics AXロールアウトの対象となった中 間膜ビジネスは、日本のマザー工場を含めて6 つの生産拠点が存在し、その拠点間で資材が連 携しながら動くビジネスのため、最終的に6工 場全てにDynamics AXが導入されてグローバ ル全体のSCMが機能することが目指すべき目標となっています。今回は海外の2社で標準 ERPが適用できましたが、残りの3社について もDynamics AXを導入していくことが今後の チャレンジとなります。SYSCOM には引き続き ご支援をいただくとともに、メキシコと米国にお ける導入ノウハウを、今度は中国やヨーロッパの 拠点に応用・指導していただくことも検討しています」と小笹氏は期待を込めて語る。
その思いに応えるべく、SYSCOM は積水化学工業がめざすグローバル 経営の実現に向け、更なる革新的な提案を続けていく考えだ。

User’s Data

積水化学工業株式会社
【大阪本社】〒530-8565 大阪市北区西天満2丁目4番4号
【東京本社】〒105-8450 東京都港区虎ノ門2丁目3番17号
URL:http://www.sekisui.co.jp/
1947年創業。社是「3S精神(Service、Speed、Superiority)」の精神を貫き、その70年の歴史の中で培った先進の樹脂加工および住宅分野の技術と品質で「住・社会のインフラ創 造」と「ケミカルソリュー ション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献してきた。現在は、「住宅カンパニー」、「環境・ライフラインカンパニー」、「高機能プラスチックスカンパニー」を事業の柱に絶え間なくイノベーションの創出に取り組んでいる。

積水化学工業株式会社
経営管理部
情報システムグループ 理事
小笹 淳二 氏

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